つまらない仕事はプログラムにやらせよう

ONE HUMAN UNIT

RPA導入の提案で悩んでいるなら「事例で学ぶRPA」と「KEYS TO RPA SUCCESS」がおすすめ。内容を抜粋すればかなり説得力のあるパワポできるよ。

RPAでの工数削減効果のニュースが飛び交う中、導入したい……でもどうやって提案すればいいのやら

導入するためには、経営を説得しなければ……

なかなかハードルが高かったりします。

そんな時、検討段階でベンダーに連絡をとりながら営業をかわしつつ情報を引き出すのがセオリーですが、

そこまでの時間を割けない場合いろいろなサイトから情報を得るかと思います。

しかし、情報の精度はいまいちで、信ぴょう性があるのかなこれっていうサイトもちらほら。

そんな時はやはり紙媒体でしょう。

今回紹介するのは2冊です。

これだけ買えば十分な資料ができるはず。

RPAがどんなものなのか、どんな部門、どんな業務に適用できるかの説明に役に立つ

まさか、RPAがどんな英語の略なのか、そしてRPAにはどんな段階があるのかなんて、また日本の労働人口の推移や労働力確保の必要性なんて

サイトの文字数を水増しするための無意味な説明のためにパワポのページを無駄にしてませんか。

マネジメント層はそんなに暇ではありません。

まずはRPAがどんな場所に効果があるのか説明をするのに役に立ちます。

RPAがどのような部門のどのような業務に適用できるかがわかります。

RPAの効果を最大限、実感できるのは、「反復が多い」「扱うデータ量が多い」「参照するシステムや利用するソフトウェアが多岐にわたる」ような定型業務です。

そのため、経理、財務、総務、人事、調達部門などの事務的業務でRPAは無類の強さを発揮します。

参考:「事例で学ぶRPA」p.25

この主張を支持するアンケートも具体的な数字がのっているので、対象部門を選定したり、マネジメント層への説明時に対象範囲の指示があるかもしれません。

 RPAの適用は”業務量が膨大”と考えられることが多いが、「毎日」、「大量」、「繰り返し」行われる量が多い業務は投資対効果の見合うところであるため、システム開発またはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)にて外部に委託することで、すでに「IT投資による効率化」を行っている企業が一般的である。

一方、社員個々のデスクワークである粒度の小さい業務はシステム化しても費用対効果が期待できず今でも人海戦術で対応している。この部分が「RPA適用による効率化」の対象だ。

個々のボリュームは小さくても、数が膨大にあるため積み上げると大きな効果が見込める部分である。

参考:「KEYS TO RPA SUCCESS」p.15

対象範囲が狭めてきましたね。システム投資されないような人が行っていた業務がターゲットとなります。

つまりあまりに粒度が小さすぎて、システム間IFの開発投資すら行われなかった、あるいはシステムがスパゲティ化して延命しており、余計な処理を実装したく無いようなシステムへの操作も対象となりそうですね。

 

製品選定のためのざっくりした情報収集をサクッとできる

製品選定のための情報収集はやろうと思うと骨ですね。

とりあえず、こういう企画をやりたいという仁義を切るためのマネジメント層へのプレゼンであれば

諸々のフィージビリティはのちの製品選定、PoCで行いますと全体スケジュールの中で一言でいいでしょう。

RPAは各社各様の違いがあります。

そのあたり自社でフィッティングするか見極める必要がありす。

実行環境の違い

RPAは大きくサーバー型、デスクトップ型に分類されます。

さらに、サーバー型もサーバー内で完結する、サーバー実行型とクライアント実行型があります。

RPAの分類
類型 分類 補足
サーバー型 サーバー実行型 サーバー内で実行が完結
デスクトップ実行型 サーバーから実行指示が各デスクトップに行き処理実行される
デスクトップ型 - デスクトップで実行指示、処理実行される

サーバー型でガッチガチに組むとすれば、APサーバー(管理コンソール用)、DBサーバー(シナリオ管理等)が必要ですが、

PoCであれば、一つの端末で構成組んでもいいでしょう。

というか、外部公開しない(DBサーバーを切り離してデータの安全を守る必要がない)イントラネット内で動かすのが普通でしょうからね。

AP、DBサーバー構成は昔のスペックの名残というのが強い気がします(あとは、なんとなく提案されるケース。理由を聞いてもそういうもんですと、インフラ部門がちゃんと理解してなさそう)。

シナリオ(ワークフロー)の種類での分類

実装するにあたり、どういうものなのか把握しておくのも手でしょう。

まあマネジメント層へはこのレベルの情報は不要でしょうが。

RPAの分類
分類 補足 製品例
フローチャート型 フローチャートのように上から下にシナリオを作成するタイプ WinActor、BluePrism、UiPath
ジョブネットワーク型 JP1やJobCenterのように、左から右にジョブネットワークのように作成するタイプ BizRobo!
スクリプト型 動作を記録し、スクリプトにおこされるタイプ AutomationAnywhere

ちなみに製品に関しては、「事例で学ぶRPA」で主要製品について、物によってはライセンス費用の記載もあるので提案資料の役に立ちます。

ちなみに、日立はAutomationAnywhereとWinActorともう1社のRPAを使用しており、管理はJP1で行っているとか。

複数のRPAを管理するには特定の製品――例えばBluePrism――のワークフロー内から別の製品――例えばWinActor――のシナリオを呼び出すといった具合でラッピングしてやる必要があります。

それ以外に、日立のやり方のようにJP1などのジョブ管理ツールを使って、呼び出してやればスケジュール管理や実行管理はできますね。

XX万時間削減した。というニュースを引用しマネジメント層の期待値を上げ過ぎない

https://ciprogram.jp/rpa/iize/

ニュースを騒がす、メガバンクのような高い工数削減効果は見込めないでしょう。

メガバンクは効果算出時にも店舗数で多いので効果を計算しやすいという点があげられます。

例えば青いメガバンクの支店数は約800店です。

仮に各店舗には窓口が6人いて、RPAで日次で行っている15分かかる業務が10分削減できたとします。

営業日を仮に240日だとすると――

10分(削減工数)* 6人(店舗当たりの該当業務実施者) * 800店舗 * 240営業日 / 60分(結果を時間になおすため)

さて、どうでしょう。

結果は19.2万時間です。

結構な工数が削減できましたね。

非常に単純な計算式なので事実とは異なるでしょうが、要するに店舗数の多い銀行で同一業務に対して効率化できるRPAを作った場合、すぐに机上の数字は叩き出せます。

ちなみに、1人当たりの年間労働時間は定時ベースなら――

8時間 * 240営業日 = 1920時間

この計算で行くと100人分の工数が削減できてしまったわけですね。

一般的な企業であれば、このような数字を出すことは難しいでしょう。

なのであまり変なニュースをパワポに張り付けて、期待値を上げ過ぎない方がいいかと。

 

マネジメント層の承認を経て、プロジェクト立ち上げ後にはPoCをやる場合にはROI基準で対象業務を選ばない方がいいです。

これは「事例で学ぶRPA」の中でも触れられています。

まずは難易度が低くかつ、RPAのできることのデモンストレーションとなるものを選ぶことをお勧めします。

まずは難易度が低い業務を

まず一つ難易度が低い業務を選ぶべき理由ですが、RPAを内製で展開する場合、担当を練兵する必要があります。

始まりの村から出たらまずはスライムやドラキーを倒して経験値をあげるのがRPGのセオリー。いきなりゾーマとやりあっても即死です。

ここでROI基準でえらばないということに立ち戻りますが、ROIの高い業務は高頻度、長時間であることが多いです。

つまりRPA化に時間がかかり難しいはず(導入初期の経験値であればなおさら)。

それよりは、簡単なシナリオでバリエーションを持ったデモをやる方に力を入れることが先決。

「簡単な業務ばかりしか、RPA化できないんだな」という意見も出るでしょうが、

これはデモ用に簡単な業務を対象としてRPAがどんな業務に適用できるかというイメージを持ってもらうために用意したシナリオですとでも言っておけばいいでしょう。

RPAでいろいろな作業ができるとわかるようなデモができる業務を選定する

例えば、ユーザーへ展開する際のデモで、Excelマクロを自動的に動かし、ファイルを保存するようなものだけだったとします。

それだけ見たら「え、意味なくない」そう思ってしまう可能性もあります。

デモではユーザーのどんな業務にRPAをてきようできるか、イメージを膨らませてもらう必要があります。

Excel操作だけではなく、Webシステムから条件を指定してダウンロードしたファイルを所定の場所に保管する、データを転記して集計する、Excelデータからシステムへのデータ投入などなど、

いろいろなバリエーションでデモをして、これらの組み合わせの業務もRPA化できまっせと補足してやりましょう。

 

展示会に行くのも手

先日、RPA DIGITAL WORLDに行ってきました。

各社のブースでハンズオンやら展示をしているわけですが、

そういった企業のパワポの章立てを潔くパクるのも手だと思います。

https://ciprogram.jp/rpa/rpa-digital-world-2019/

今回紹介したKEYS TO RPA SUCCESSの著者日立ソリューションズの松本匡考氏のパワポはかなり説得力がありました。

すべてとはいかないでしょうが、内容を覚えつつ、帰ってすぐパワポっていうのも手でしょう。

 

  • B!